お客様による
クランプの管理・点検
MANAGEMENT / INSPECTION

正しい管理のポイントMANAGEMENT POINT

ゼロ災害への第一歩は、クランプの管理・点検から始まります。
さらに、作業効率やクランプ寿命を高め、コストダウンを図るためにも正しい管理のポイント・点検の基準をしっかり守ることが重要です。

屋内で用途別に保管する

  • 作業後、屋外に放置しないでください。さびの原因となります。
  • 用途別にまとめて保管してください。作業性が向上します。

点検・整備はコマメに

  • 作業開始前の点検と終業時整備を必ず行ってください。
  • 作業の有無に関わりなく、定期的に点検・整備をしてください(月1回程度)
  • 点検・整備をする時は摺動部に注油をしてください。

劣化したクランプの使用厳禁

  • 変形や損傷、劣化したクランプを発見したら使用を禁止し、正常な物と交換してください。
  • 使用前に必ずクランプの作業開始前の点検を実施してください。

部品交換は早めに

  • クランプの部品を使用限界間際まで使うのは注意が必要です。
  • 硬度の高いつり荷や同一板厚を使用する現場ではカム(歯板)・旋回アゴの交換を特に早めに行ってください。

点検の基準INSPECTION CRITERIA

下記表はクランプを点検する際のめやすです。
もし、該当する項目が1つでもあれば、そのクランプの使用を中止し、当社までご連絡ください。

点検基準表(抜粋)

点検箇所 チェック内容 簡単なチェック方法及び危険な状態のめやす 使用限度(※限度を超えたものは交換又は廃却)
本体 変形・き裂
  • ・無負荷でつり環を作動させた時、動きが固い
  • ・本体内幅とリンク幅の差が拡がったり、狭くなった場合
  • ・開口部の拡がったもの、摩耗したもの
  • ・つり環ピンガイド溝の摩耗、変形したもの
・本体内幅(A)とリンク幅(B)の差が0.5mm以下または4.0mm以上を限度とする。
本体ボルト ボルトの曲がり
  • ・ボルトを締めたときにガタやズレが生じる
本体ピン ピンの曲がり・
溶接不良
  • ・本体の変形又は溶接部にき裂が生じたもの(1ヶ所以上)
つり環 曲がり・よじれ・
伸び
  • ・ロック装置をかけてつり環を動かした時、縦方向に2mm(めやす)以上のガタが生じる(伸び)

以下の状態の場合、使用不可
・曲がり10°以上
・伸び、摩耗5%以上
・ねじれのあるもの

カム(歯板) 摩耗・目詰まり・
歯コボレ
  • ・つり荷に歯形がつかない(摩耗)
  • ・カムの歯コボレが1ヶ所以上の場合、使用不可
・摩耗(歯コボレ)限度 標準 仕様:0.5mm以内 ローレット仕様:0.5mm以内 ヤスリ目仕様:0.3mm以内
カムピン 又は
つり環ピン
曲がり
  • ・カムピンをまわした時にカムが振れる
・曲がり限度 長さ100mmにつき1.5mm以内 ・摩耗限度 ピン径の5%まで(ノギスで計測)
摩耗
  • ・つり環やカムに遊びやゆるみがある
・曲がり限度 長さ100mmにつき1.5mm以内 ・摩耗限度 ピン径の5%まで(ノギスで計測)
旋回アゴ
(ジョー)
摩耗・目詰まり・
歯コボレ
  • ・つり荷に歯形がつかない(摩耗)
  • ・塗料による目詰まりは使用不可
  • ・歯コボレが外輪歯で1ヶ所以上の場合、使用不可
・摩耗(歯コボレ)限度 標準 仕様:0.5mm以内 ローレット仕様:0.5mm以内 ヤスリ目仕様:0.3mm以内
カムピン穴 又は
つり環ピン穴
伸び・摩耗・変形
  • ・つり環やカムに遊びやゆるみがある
・変形及び摩耗限度 カムピン:5% つり環ピン:5%
ロック装置 ロック
スプリング
伸び・変形・
張力低下
  • ・無負荷で開口部を閉じてロック装置をかけた時、バネの効きが悪い、簡単に外れる
  • ・開口部につり荷を差し込み、ロック装置をかけた時、ロックがかかりにくい
・伸びの限度 5% d/ℓ < 5% ・変形が認められれば交換!
止めボルト 摩耗・変形・伸び
  • ・スプリングを交換してもバネの効きが悪い、
    簡単に外れる
ボルト穴
  • ※上記表はあくまでもカム式クランプの点検基準ですので、その他製品に関しては必ず各取扱説明書をご参照ください。

点検の方法INSPECTION METHOD

点検の方法は、製品によって異なります。必ず製品に添付している取扱説明書の点検マニュアルに沿って行ってください。
いくつかの型式で作業開始前の点検票と点検箇所表を下記へまとめていますので、ご参考にしてください。
※作業開始前の点検票・点検箇所表は、随時更新しています。

項目
作業開始前の点検票
点検箇所表
鉄鋼用クランプ
鉄鋼用クランプ縦つり用
作業開始前の点検票
点検箇所表
鉄鋼用クランプ横つり用
作業開始前の点検票
点検箇所表
鉄鋼用クランプねじ式
作業開始前の点検票
点検箇所表
鉄鋼用クランプ水平つり用
作業開始前の点検票
点検箇所表
鉄鋼用クランプ引張り無傷
作業開始前の点検票
点検箇所表
コンクリート二次製品用
コンクリート二次製品用UGシリーズ
作業開始前の点検票
点検箇所表
コンクリート二次製品用ECシリーズ
作業開始前の点検票
点検箇所表

定期点検の必要性NECESSITY OF PERIODIC INSPECTION

つりクランプの法規制
(定期点検の必要性の根拠)

[法規]労働安全衛生法 第四章「労働者の危険又は健康障害を防止するための措置」として第20条、「事業者は次の危険を防止するため必要な措置を講じなければならない」と定められています。次の危険とは、「機械、器具その他の設備(以下「機械等」という)による危険」を指します。(つりクランプは機械、器具に相当)
また、平成4年10月「労働安全衛生法」の一部改正と共に「クレーン等安全規則」も改正され「玉掛用具」の「作業開始前の点検」が法制化されました。クレーン等安全規則 第8章「玉掛け」関係は第213条~第222条に記載。
「玉掛用具」について、平成12年2月24日、労働省労働基準局長通達で、「玉掛け作業の安全に係るガイドライン」の第3「事業者が講ずべき措置」の6「日常の保守点検の実施」(2)に、「点検については別紙の点検方法及び判定基準により実施する」と定められています。
別紙「主な玉掛け用具の点検方法及び判定基準」の(5)(6)として、「クランプ」及び「ハッカー」の点検部分、点検方法、判定基準が定められています。

  • ※各法令・通達の内容については、安全衛生情報センター( http://www.jaish.gr.jp )の検索サイトよりポリシーに沿ってご参照ください。

点検の記録

保全に関わるコスト、事故発生時の関係官庁への対応、特に証拠としての公式な点検記録等を考えますと専門メーカーによる点検を実施されるメリットは大変大きなものとなります。
[規格]日本クレーン協会規格であるJCAS 6601-2019「つりクランプ」には、点検の種類として「作業開始前の点検(日常点検)」と「定期点検」が規格化されています。「定期点検」では、「1年以内に1回以上、定期に点検する」と定められています。

クランプ登録のお願い

お客様が購入されたクランプを長期にわたり安全にご使用いただくためには、一台一台を登録していただき廃棄されるまで定期的に点検をうける事が必要です。当社では製品一台ごとに保証書を発行し、お客様から返送されるハガキ(保証書発行確認書)により登録を行います。従って購入されたクランプに添付しております保証書を確認し、ハガキを切り離して必要事項をご記入のうえ、投函していただくようお願い申し上げます。

点検等についてのお問い合わせは、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。